研究テーマ:実存主義
タイトル:実存と自由
研究内容: サルトルは自身の哲学書『存在と無』を通して「実存が本質に先立つ」という「実存主義」を提唱した。これは人間にはあらかじめ決まった本質や運命はなく、「この世界に存在(実存)して、生きる意味(本質)がついてくる」、自由な選択と行動によって自分自身を作り上げるという考え方である。人間は自由に選択し、行動することで自分の存在を形作る。つまり人間は自分で自分の存在を「創造」するのである。サルトルの考えは芸術において通じるものがあると感じる。自分の思いのままに筆を走らせ、シャッターを切る。何気ない自身の行動が自分、また作品という自分を反映させたものを作り上げていく。時にそれは人生と同じく責任を負うものである。真っ白な紙に一度描いてしまったら消すことできない、残り一枚のフィルムのシャッターを切ってしまったら撮ることができない。そんな自由と責任を感じながら本作の制作に臨んだ。創造する「自分」という実存、また実存によって現れる影、思いのままに筆を手に描いた「自由」を表現している。

哲学者名:ジャン=ポール・サルトル(1905-1980)。フランスの哲学者、小説家、劇作家。「実存は本質に先立つ」と唱え、実存主義の中心人物として、自由と責任の概念を探求し、文学や政治にも大きな影響を与えた。
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